行き先は、2つ選ぶ
どこへ行けばいいですか、と聞かれたときの答えの前に、選び方の話をします。18歳で世界一周し、いまは69カ国を数えた医師が使っている基準は単純です。想像できる外国と、想像できない外国を1つずつ選ぶ。
想像できるほうは、日本人ならアメリカです。映画やドラマで絵が浮かぶ。問題はもう一方で、ここを外すと旅の意味が半分になります。
アイジュ
ゆー聞いたこともない国へ行け、という話ではありません。名前は知っているのに絵が浮かばない国が狙い目です。アメリカだけを見て外国を語ると、先進国で国民皆保険を持たないのはアメリカだけ、といった偏りに気づけません。
接点が少しだけある国から入る
とはいえ、まったく手がかりのない国は選びにくい。そこで使えるのが、想像はつかないけれど接点はある、という入り方です。
アイジュ
ゆーベネズエラ自体は治安の面から初心者向けではありません。ただ、入口の作り方としてこの発想が使えます。野球で競り合ったチェコ、音楽好きなら歴史の話で必ず出てくるポーランド、サッカーで対戦した国。引っかかりが1つあれば、着いてからの解像度がまるで違います。
最初の1カ国なら、台湾
近場で安全なのは韓国、台湾、ハワイ、グアム。この4つならいちばんは台湾です。飯がうまく、人がよく、親日で、漢字が読める。街を歩けば半分は理解できて、英語を一言も話さずに旅行できます。日本人だから親切にされない、ということがありえない場所です。
ヨーロッパならイタリアとスペイン。見るものが多く、日本人が大事にする食事がうまい。スペインは治安が良くなっていて、15年ぶりに訪れたマドリードの変化に驚いたという話が出ていました。いまはパリやロンドンよりも雰囲気がいい、と。
期待値をいちばん超えたのは、ウズベキスタン
ゆー
アイジュイスラムの文化とシルクロードの文化、そこに中国系の文化が入り混じります。旧ソ連なのでソ連らしさもある。人が穏やかで、飯がうまい。期待値を超えた国のトップ5に入る、という評価でした。
日本人にとってのシルクロードはイスタンブールの絵になりがちですが、あそこは終着点です。ウズベキスタンは真ん中にあります。困るのは言葉で、英語がまるで通じません。宿にひとりだけ英語を話せる人がいて、この街でこの人しか喋れないのではないかと思うほどだったそうです。
もうひとつ、日本人が歩いていても目立ちません。アジア系の顔立ちの人が多く、朝鮮戦争で逃れてきた人たちの末裔もいるからです。
そのほかの評価
- チェコとポーランド。中央ヨーロッパは治安が安定していて入りやすい
- クロアチアのドブロブニク。アドリア海が本当に綺麗で、船で渡ることもできる
- スリランカ。仏教の国で人が穏やかで、シーギリヤロックのような世界遺産がある
- アイスランド。行った人が悪く言っているのを聞いたことがない、という理由で挙がっていました
- ケニアのサファリ。人がいないので治安はほとんど関係なく、いちばん危険なのはカバ。ただしロッジまでバスで7、8時間かかり、当時の現地発着ツアーで80万円ほど。いまなら150万はする
- インドは面倒なので子連れには勧めない。20代の研修医や学生なら一度行けばいい
辛口だったのがバンコクとシンガポールです。バンコクは東南アジアらしさを期待して行くと、ただの大都市で、新宿だと言い切っていました。シンガポールは物価が高く、あの都心の感じなら東京でいい。ホーチミンも摩天楼で、飲み屋街は歌舞伎町です。
飯がうまい国は、それだけで価値がある
行き先の判断に食事を持ち込むのは、日本人としてまっとうです。人生にとって最も重要なことを尋ねた国際的なアンケートで、20カ国ほどのうちほとんどが異性とのスキンシップを1位に挙げるなか、食事と答えたのは日本だけだったという話が出ていました。
ゆー
アイジュヨーロッパやアメリカで評判のいいレストランに入って大しておいしくなかった、という経験の理由もここにあります。彼らが評価しているのは雰囲気だからです。ミシュランはフランス人がやっているのでフランス人は例外ですが、イギリスや北欧はまるで違う。日本人にとって食事は旅の中心になり得ますが、向こうにとってはついてくるものです。
時間が取れない年は、ハノイの道を渡る
南米まで行ければいちばん刺激は強い。イースター島が最高だったという話も出ています。ただ、日本の医師にとって南米は遠すぎます。時間が確保できれば、という前提が重すぎる。
ゆー
アイジュ旅行と旅は別のものだという整理もありました。旅行は行くこと、旅は感じること。ビーチリゾートで過ごすのは旅行で、そこで現地の人に声をかけて文化を知りたくなったら旅になる。どちらが上でもありません。
そして、おすすめはどこですかという問いへの答えは決まっていました。先生が行きたいところです。