読めるのに話せない。多くの日本人医師が抱える悩みです。ポッドキャスト「医局の外で会いましょう」のアイジュ医師は、TOEICもTOEFLも受けたことがないまま、世界一周で英語を身につけました。その考え方が、話せない壁の正体を教えてくれます。
StudyではなくLearn。日本人はStudyしすぎた
核心はこの一言に尽きます。コミュニケーションの英語は、Study(勉強)するものではなく、Learn(学ぶ・身につける)するもの。アイジュ医師が英語を使えるようになったのは、教室ではなく旅の現場でした。使わないと生きていけないから、必要に迫られて身についた。
アイジュ
ゆー日本の完璧主義は、英語と相性が悪い
文法を正しく、発音を正しく。この完璧主義が、口を開く前のブレーキになります。次に何の単語が来るかを考えながら話そうとするから、いつまでも話せない。
そもそも英語は、三単現のSを気にしなくても通じる、ルーズな言語です。日本語のほうがよほど曖昧で難しい。「どうも」一つで挨拶にも感謝にも別れにもなる言語を使いこなしている人が、英語の細部で固まる必要はありません。
「正しい英語」なんて存在しない
完璧主義がほどける決定的な事実がこれです。英語に唯一の正解はありません。
- アメリカでは water を「ウォーダー」、イギリスの労働者階級では「ウォーラー」とTが抜ける
- 持ち帰りは、アメリカで Take out、ヨーロッパでは Take away
- ネイティブ同士でも「その発音どこの?」と笑い合っている
ネイティブが話すものがその英語になる。だから、相手の英語が正しいとも限らない。完璧に話す必要もないし、完璧に話されることもない。ここに気づくと、口が軽くなります。
医療英語の落とし穴
医師特有の注意点もあります。医学用語は文語では共通でも、話し言葉には地域差が出ます。
- ER(救急)は、イギリスでは A&E(Accident and Emergency)
- 手術室は OR ではなく、イギリスでは OT(Operation Theatre)
- 患者は薬を「解熱剤」ではなく「Tylenol」など商品名で言ってくる(ヨーロッパ人には通じないことも)
- 日本語の「パブロン飲みました」と同じ現象が、各国の商品名で起きる
翻訳ツールも、商品名や固有名詞は正しく訳せないことがあります。困ったら、その場のネイティブに素直に聞く。それも立派なコミュニケーションです。実際に外国人患者を受け持ったとき現場のどこで詰まるかは、外国人患者が来たとき、医師の英語はどこで詰まるかで切り分けました。
忙しい医師の、続く学び方
では何をすればいいか。答えは「使う必要性を自分で作る」ことに尽きます。必要性がなければ、どんな教材も続きません。
- 短期でも海外に身を置く(旅行・短期留学・学会)
- オンライン英会話やアプリで、細々とでも長く続ける
- 間違いを恐れず口に出し、通じなければAIやスマホも併用する
- 「その英語間違ってるよ」と言い合える相手を持つ
ゆー医師も、これまで何度も短期間で挫折してきたと言います。だからこそ今回は負荷をかけず、細く長くを選んでいます。
アイジュ
ゆー正しさより、伝わること
英語はコミュニケーションの道具であって、試験科目ではありません。100%正確に伝えることより、まず言いたいことを言う。ボディランゲージもAIも総動員して構いません。英語で世界がどう変わるかは医師に英語は必要かにまとめています。あなたが最後に、間違いを恐れず英語を口にしたのは、いつですか。